関西最恐と言われる国道425号の走り方を伝授する

関西最恐と言われる国道425号の走り方

国道425号を突破するロードスター

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mibuaoi

今日は「落ちたら死ぬ」なんて標識が入り口に仁王立ちしている道路について話そうかしら

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ちゃちゃ助手

今回は奈良県南部最奥の怖い道路の調査録ですね

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mibuaoi

そ、これだけでもどんな道路なのか知りたくなるだろう?

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ちゃちゃ助手

はい、主婦も耽読間違いなしかと思います

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mibuaoi

うむ、では話そうかの


 

坂本龍馬が奔走していた幕末。
天誅組という尊王攘夷を唱える志士たちがいた。
京都で新撰組などと戦っていた人たちだ。
その天誅組は刀での戦いに負けると、京都から逃げ出し、追手に見つからないところまで逃げなければならなかった。
町や村落に身を潜めることは、幕領に占められた畿内では無謀なことである。
では、どこに逃げればいいのか。
無論、人跡未踏の地とまではいかないが、それに相応するような地域にまで逃げねばならない。
歴史上、自然の要害が立ち塞がり、あまりにも自然環境が厳しく年貢が取れなかった場所といえばどこか。
十津川である。
江戸時代の交通は、五街道など徐々に整備はされていたが、地方の山奥など獣道も同然で、道路というものはなかった。
十津川郷士という天皇を守るために幕末京都へ向かった村民たちも、この奈良盆地に至るまでの山林の獣道100kmを昼夜歩き通した。
明治初期に自動車交通が始まり、時代が進むにつれて全国各地に道路が整備されていった。
では、この十津川の中心部と奈良盆地を結ぶ自動車道はいつ整備され始めたのか。
戦後である。2021年現在は一部の旧道を残し、ほぼ難所と言った部分は姿を消し、十津川村中心部まで行くには簡単な時代になった。
ただ、幹線以外はそうはいかない。整備不慮、事故を誘発しかねない状態にある道路がいまだに現存するのである。

今回話題にする道路は、このような十津川村の中心部につながる経路の内、裏道というべき国道425号の十津川龍神間(約47km)の区間である。
インターネットで検索をかけると、走行経験者の諸説を拝読することができるだろう。

誇張気味なのではないだろうか...本当にこのような国道が現下存在するのか。
現道として機能しているのだろうか。
常人の神経であれば、まるで薄氷を履むかのような獰悪な道程が展開されていると感じるはずだ。

百聞は一見に如かず。

しかし、植え付けられた先入観は、そう易々と敢然とさせてくれない。
仮初で挑み、現地に訪れたとしても、入り口の異様な光景を眼前にすると、竦然と尻尾を巻いて逃げ出したくなるはず。

走ってみたいけど、走れない。
存在自体は知っているけど、実際に走ったことはない。
このような人はたくさんいるだろう。

「どのように走ればいいのか、何を心得ておかねばならないのか」
区間の中で、最も険路である「十津川村昴の郷」から「龍神温泉」の総距離47kmの走行体験から、この疑問に答えていこうと思う。

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ちゃちゃ助手

このような道路を、冒険したい男子はたくさんいそうですね。でも、GoogleMapやインターネットでの情報を見ると、やはり不安になるはずですよね。教授は、そのような方たちのために、少しでも不安を取り除けるように今回の記事を残されるのですね。

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mibuaoi

そう、実際に私もそうだった。しかも当時所有していた車は新車で、最新のハイカラなオープンカーだ。普通ならジムニー などで行くだろう。それをあえて都会が似合う最新のスポーツカーで挑んだのだ。これほど勇気のいる決断は普通ではできないであろう。躊躇するはずだ。

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ちゃちゃ助手

犠牲を覚悟で、自ら実証して見せる。素晴らしい意思ですね。

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mibuaoi

ドライブ仲間からはもっと車を大事にしろとは言われたけどね

逃げるなら入り口で逃げる

酷道は、基本、進入すると一斜線が出口まで続く。
一度進入すると、途中で引き返そうと思うも、すれ違いのために設けられた少しばかり幅員が広いところまで進まねばならない。
すれ違いができる箇所に、ガードレールが設置されていれば良心的な酷道であるが、崖が剥き出しのままの整備不良極まりない道路も珍しくはない。
国道425号の場合、和歌山県側は致命的な状態で、幅員も満足にない上に、起点近くからアスファルトが崩落し、路肩のアスファルトの中が空洞になっている箇所が多々ある。全長47kmの道のりの起点でこのような状態のため、進入するにつれて厄介な対応が増える一方である。
そのため、奈良県和歌山県側の入り口には、入り口の時点で進入を躊躇わすための「死亡事故多発!迂回路を選択してください」と警告色大文字で注意書きが設置されているほどだ。
約90分間の酷道走行を耐久する覚悟がなければ、入り口で潔く退散すべきである。

国道425和歌山県側入り口

和歌山県側入り口

走行速度は25km/hが限界

私は、8月31日の16時に奈良県側から走行を始め、十津川龍神間の47kmを80分で突破した。すれ違った車は集落や道路工事が進められていた奈良県側が圧倒的に多く、和歌山県側は1台だけであった。
無論、道は全区間蛇行しており、見通しも悪い、道路の状態も悪いため平坦な道を走るようにはいかない。和歌山県側に入ると、道路状態がさらに悪化するため、速度は奈良県側に比べ落ちる。
夜間走行は、野生動物のことも考慮するとなると、さらに所要時間はかかるだろう。

路辺に近づきすぎてはいけない

十津川龍神間は終始、ガードレールが設置されていない川に沿う崖上の道路を走る。
山川につきものは、崩落である。
崖側の道路半分が崩落しているところもあり、前述したように道路の内部が空洞化している箇所もある。1トンの重さのある自動車が乗り上げれば崩れるのは必至。
可能な限り道路の中央を走ることを意識しなければならない。

すれ違いができそうな箇所を終始記憶する